こんにちは,M1 の妹尾です.
本日は,乃村研究室で実際に起こった VLAN 接続不良事件についてお話します.
<序章>
2024年11月6日,午後2時.いつも通り稼働しているはずの計算機たちが突然静寂の中に沈んだ.VLAN へのアクセスはできず,Wi-FiネットワークのSSIDである「BR-A」,「BR-G」,そして「AP-G」が繋がらない.
いつもは賑やかに通信を交わすはずのネットワークが,なぜかその日だけは沈黙していた.原因を探るため我々は冷静かつ緻密な検証を開始した.
<暗雲の兆し>
調査の拠点に選ばれたのは名探偵の如き役割を果たす計算機「arctica」.arctica は SWLAB ネットワークと乃村研 VLAN の両方に足を持つ計算機である.
SWLAB のネットワークには接続できるものの,VLAN には繋がらない.さらに調査を進めると,VLAN に接続している別の計算機「atlantica」と「novem」は相互に ssh 接続が可能だとわかった.
まるで手がかりを与えるかのようにいくつかの計算機だけが静かに通信を許していた.
だが,状況は複雑で簡単に解決できる問題ではなかった.
netplan,nslookup,ssh,arp といった数々のコマンドを計算機「arctica」で試みるも,原因は容易には掴ませてくれない.我々は迷路に迷い込んだような3時間を過ごした.
<疑念の影>
事件が一向に解決の兆しを見せないため,我々はネットワークの障害ではなく,物理的障害ではないかと疑い,調査を進めた.
すると,どうやら10Gスイッチ(ハブ)に何か異常が起きているらしいのだ.
LAN ケーブルを抜き差しして状態を確認すると,ラック上段に鎮座するハブの1番ポートに接続不良が見つかった.
まるで,そのポートが鍵を握っているかのように,わずかに繋がっているはずの回線に狂気を潜ませていた.
<真相>
驚愕の事実が判明した.ラック上段のハブの1番ポートは,ラック下段のハブとカスケード接続されている重要なポートだったのだ.
このポートが不良を起こしたために,ラック上段のハブに接続している計算機たちは一様にインターネットから遮断され,孤立してしまっていたのだ.
ラック上段のハブに接続している「arctica」は VLAN に接続できず,ラック下段のハブに繋がれている「atlantica」と「novem」がかろうじて通信できていた.
さらに,学生の居室である106号室のハブや orbi ルータもまたラック上段のハブに接続されていた.
106号室のハブにはアクセスポイント(BR-A,BR-G)やルータ(AP-G)が接続されているため,BR-A,BR-G,そしてAP-Gが全て通信不能に陥っていたのだ.
<エピローグ>
事態は急を要する.我々は即座に対応策を考え,ラック上段のハブの1番ポートを使わない形で再接続を行うことを決意した.
新たなハブを購入するまでの仮の処置として,もう一台のハブを追加し,接続の中でも重要なものをラック下段のハブに集約する形でネットワークの復旧を試みた.
こうして,ネットワークの静寂はようやく終わり再び計算機のネットワーク接続は息を吹き返したのだった.
ネットワーク障害はネットワークだけではなく,物理的な障害も疑うべきであるという気づきを経て,我々はさらなる成長を遂げることができた.
ネットワークに潜む見えない謎に挑むかのように進められたこの調査.1番ポートの不調という隠れた脅威に気付かなければ,乃村研究室の未来は閉ざされていたかもしれない.